究極の山ごはん「ビバークレーション」が補給食の常識を覆す

山頂で食べるラーメンは、桁外れにおいしい。

肌寒い山頂で食べる、熱々のカップラーメン。疲れ切った身体にスープが染み渡り、それはそれはおいしいのです。山好きの人はもちろん、山に行かない人でもその味は想像できるのではないでしょうか。

ですが、そんな至福の体験のあと、ちょっとした問題が浮上します。それは残ったスープの処理。ゴミの持ち帰りが鉄則の山では、スープが残ってもその辺りに捨てることはできません。しかし全て飲みきるのは大変だし、体にもあまりよくなさそう……。

そうした悩みを解決すべく生まれたインスタント食品が、熱湯をかけて2分待つだけでできる本格リゾット「ビバークレーション」です。

カップラーメン並みの手軽さで作ることができ、無添加かつヴィーガン(※1)で体にもやさしい。スープが最後に残って困ることもありません。

そして超軽量&コンパクトで持ち運び楽々、賞味期限が2年間あるので災害備蓄食にも使える。なによりおいしい!と、夢のような山ごはんなんです。

※肉や魚、乳製品や卵も食べない完全菜食主義。また完全菜食の食事のこと


乾燥させた米や具材、調味パウダーが真空パックされたパッケージ。スパイシーなトマト味「トマトキック」、みんな大好きなカレー味「ホッター・ザン・カレー」、イタリアンさながらの「ポルチーニクリーム」、 男性人気No.1「海苔茶漬け」の4種類が発売中

そんな「ビバークレーション」を開発したのは、アウトトアブランド「ウルトラランチ」を主宰する山好きの男性・ドミンゴさん。

日本唯一の「米飯食品インディーズメーカー」として、選択肢が少ない山ごはんに一石を投じた理由について伺いました。

プロフィール
近田耕一郎(通称:ドミンゴ)
「a culinary adventurer( 食の冒険者)」として活動。東京を拠点に、veganフード製造やケータリングを行っている食品のガレージブランド「ULTRA LUNCH」を営む。美味しくて、力強い食べ応えがあって、お酒にも合い、楽しい「Vegitable healthy」な食べものを提供している。趣味として、山道を走るトレイルランニングに取り組む。

ストレスフリーな山ごはん

山口

こんにちは。まず、ビバークレーションが生まれた経緯について教えてもらえますか。

ドミンゴ

僕はもともと山に登る時、手軽に作れて持ち運びのしやすいカップラーメンを持っていくことがよくありました。山頂で熱々のラーメンをすするのはたまらないんですよ。でも、塩気の強いスープを飲みきるのがしんどい経験を何回もしていて、「どうにかして飲まずに済む方法はないものか?」と考えるようになりました。というのも、山で残り汁を捨てることはご法度なんです。しかし、残り汁を捨ててしまう人がいないわけでもなく、山の生態系に影響を与えています。そこで山も汚さず、ちゃんとおいしく、ストレスのない食品を開発しようと思ったんです。

ドミンゴ

開発に当たって、条件は四つありました。一つ目は「少量のお湯と短時間で作れるもの」。山で水は貴重なので、できるだけ少ない水で作れることが重要でした。非常食としても有名なアルファ米(インスタント米飯食品)を山に持っていくこともありますが、調理時間が15分前後と時間がかかるのが難点だったんです。そこで開発したビバークレーションは、200mlのお湯だけで作れて調理時間も2分とできるだけ短かくしました。二つ目は「軽量であること」です。山では全ての荷物をバックパックに詰めて持ち歩くため、軽さがきわめて重要です。ビバークレーションは材料を完全乾燥させて真空にすることで、ポストカードと同じサイズ。重さも80gで、Lサイズの卵1個と同じくらいですね。

山口

確かに、手で持つと驚くほど軽いですね。

ドミンゴ

そうなんです。三つ目は「ヴィーガンだけれど食べ応えがあって腹持ちするもの」。後ほど詳しくお話しますが、この商品は最初からヴィーガンで作ると決めていました。一般的にヴィーガンはヘルシーで優しい味付けという先入観があると思いますが、それを覆すパンチのある味を目指したんです。さらにフライドオニオンなど高カロリー食材を使い、1食400kcalのボリュームを持たせました。最後は「無添加」。体にやさしい素材を厳選して使用しています。

山口

なるほど、数々のこだわりが詰まっていますね。

ドミンゴ

発売から1年半ほどたち、おかげさまでたくさんの山好きの方に食べてもらって使っていただいています。

最高の天気のもと頂きました〜 * * #ultralunch #bivouacration #トマトキック

Rikaさん(@yama_rk)がシェアした投稿 –

音楽レーベルの運営からインディーズ食品メーカーへ転身。その意外すぎる経緯とは?

山口

ところで、そもそもドミンゴさんが山にハマるきっかけは何だったのでしょうか?

ドミンゴ

だいぶ遡るのですが、実は以前、音楽レーベルの仕事をしていたんです。アーティストとの作業で深夜になることも多く、生活のリズムがめちゃくちゃ。一日一食という日もあって、運動もまったくしていませんでした。

山口

今のドミンゴさんとは真逆なのでは。

ドミンゴ

ええ。ところが、そんな僕がスポーツに目覚めることになるんです。ランニングブームの影響で、スポーツブランドと一緒に「ランナーのための音楽プレイリスト」の制作を担当しまして。アーティストと一緒にプレイリストを作り、チェックのために実際に聴きながら走る機会が増えました。するとだんだん、走ることが好きになったんですね。ただ、マラソンのような「走る競技」は、自己ベストの記録によって選手に序列がつくんです。競争しなければならない空気に、どうにも息苦しさを感じまして。

山口

なるほど。

ドミンゴ

そこで出会ったのが、舗装されてない山道を100〜160kmほど走る「トレイルランニング」です。大会によって山の斜度や路面の複雑さが変動するので、そもそも持ちタイムの概念が成立しません。だから皆、記録を争うことにそれほど熱心ではないんです。順位よりも、過去の大会を全て完走していたり、初心者に積極的に山のルールを教えていたりといった、その人の活動スタイルや生き方を重視する人が多い。そんなトレイルランニングの「風通しの良さ」に惹かれ、すっかりハマったというわけです。


仲間とトレイルランニングをするドミンゴさん

「補給食」に感じた大きな問題

山口

それにしても、160kmも走るなんて信じられません……。その間には食事をしたり、休息をとったりするわけですよね。

ドミンゴ

もちろんです。走る途中で栄養摂取するための「補給食」は、一般的にエナジージェルやサプリを摂ります。が、その「補給食」が問題なんです。まず、正直なところあまりおいしいものではありません。それに、スポーツ用品店にはジェルやサプリ以外の補給食はほぼ置いてありません。店員さんは「普段の練習でも本番と同じようにジェルやサプリなどの補給食を使うようにしてください」と勧めるので、素直に従う人が多いです。お店側は商売ですからそう言うのもわからなくないんですけどね。ただ、大会の時にジェルやサプリでエネルギー補給をして、リタイアしてしまう選手も少なくないんです。補給のタイミングなどを失敗すると、胃がもたれてうまく走れなくなってしまうんですね。


ブランド名の「ウルトラランチ」は、ドミンゴさんが主催した同名のランチイベントから。42.195kmを超える道のりを走るカテゴリーを「ウルトラ」と呼ぶところから名付けられた

ドミンゴ

以上のような状況に気づいて、まずは僕自身が普段の練習からジェルやサプリを使うのを止め、普段の食生活にも気を使いはじめました。

山口

それでヴィーガンに?

ドミンゴ

はい、そうですね。まあ、僕の極端な性格も理由の一つなのですが(笑)。アメリカの有名なトレイルランニングの選手にスコット・ジュレクという人がいて、彼がヴィーガンなんです。彼の影響を受けまして、一日一食の状態から生活を改善するのであれば、いっそ極端に変えてしまおうと思ったんです。

山口

なるほど。一気に正反対の食生活になったんですね(笑)。

ドミンゴ

そうしているうち、トレイルランナーの間で「ドミンゴという人がジェルやサプリを摂らずに100マイルを走ったらしい」という口コミが広がりました。すると、一流の選手からランナーとして三流以下の僕に「日常の献立はどうしているのですか?」と聞かれるようになったんです。なぜなら、それまでジェルやサプリの代替案を提示した人がいなかったんですね。皆があまりにも面白がってくれるので、僕がヴィーガンのランチを作って、食事や栄養について話すイベント「ウルトラランチ」を開催しました。それが毎回、大好評だったんです。

山口

だんだん今のお仕事との接点が見えてきました。

ドミンゴ

当時はまだ音楽の仕事をしていたのですが、イベントの手応えを受けて、友人のバーを間借りしてヴィーガンのランチを出し始めました。それを半年ほど続けた頃に、いくつかの事情が重なって音楽レーベルを休止することになったんです。そこで考えた結果、自分のこれからの人生を捧げる対象として、ウルトラランチはとても面白いと思ったんです。

山口

いわばセカンドキャリアとしての挑戦でもあったと。

ドミンゴ

はい。そこからウルトラランチの看板を掲げてケータリングサービスを始めました。その後、2016年の夏に満を辞してビバークレーションを発表したんです。

ビバークレーションの作り方と、ちょい足しアイデア

山口

だんだんお腹が空いてきてしまったので、ここでビバークレーションを食べてみてもいいですか?(笑)

ドミンゴ

ぜひ! 作りますね。

ドミンゴ

作り方としては、まず袋を開けて空気を入れ、中身を揉んでよく混ぜます。次に、お皿に移して200mlのお湯を注ぎます。そこに袋の中身を入れて混ぜ、2分間待つだけです。はい、もう食べられますよ。

山口

早いですね! では早速いただきます。

山口

今までに食べたことのない食感でおいしい! 疲れている時に元気をもらえる味ですね。ヴィーガンとは思えないくらいパンチが効いてる。

ドミンゴ

良かったです。そのままでもいいですが、「ちょい足し」もおすすめです。山で食べるのであれば、チーズ鱈やサラミなど、コンビニのおつまみコーナーの商品が持ち運びやすくて味の相性も抜群です。家で作るのであれば、卵とチーズをのせたドリアや、衣をつけて揚げるライスコロッケもおすすめですよ。ヴィーガンにとらわれすぎず、自由に食材の組み合わせを楽しんでもらえたら。



カレー味のビバークレーションを使って、自宅でドリアを試作してみました。フリーズドライ米が潰したじゃがいものような食感になり、ポテトグラタンみたいな一皿に。簡単なのに本格的なおいしさです。

「生産数が減ったとしても作り続ける以外に選択肢はない」ハードな状況下でも続ける理由

山口

現在、ビバークレーションはどんなところで買えるんですか?

ドミンゴ

ウェブ通販のほか、実店舗にも卸しています。アウトドア用品店では、全国78店舗で扱っていただいています。ありがたいことに、最近ではお店のほうから「うちで扱いたい」という話も多くて。口コミでじわじわと話題が広がっています。

山口

それは嬉しいですね。そうやって話題になると、同様のインスタント食品で他メーカーが参入してくるようなことはないのでしょうか…?

ドミンゴ

うちのようなインディーズメーカーでは皆無ですね。というより、個人でやっているインディーズの食品メーカーって日本でうちくらいだと思いますよ。まず、事業として利益率が低すぎます。その上、大手食品メーカーが大ロットで作って単価を抑えた商品よりは、どうしても値段が高くなってしまうんです。例えば、某大手メーカーのインスタント米飯食品は1個270円で、ビバークレーションは1個450円します。お店で並列されていたら、270円の方を手に取るのもわかります。

山口

値段だけで判断すると、確かに……。

ドミンゴ

現在、月に4000〜4500食ほど出荷していますが、それでもこの事業だけでは食べていけません。その上、常に大手メーカーと比較されてしまうんです。このハードな状況、おわかりいただけますでしょうか?(笑)

山口

いやぁ、すごいハードですね……。でも、そんな状況にも関わらず、事業を続ける理由はなんでしょうか。

ドミンゴ

ビバークレーションは「山でカップラーメンの残り汁を飲みきるのがしんどい」という問題の解決のために作ったものだからです。僕がこの事業を辞めてしまうと、ビバークレーションを食べてくれていた人はまたカップラーメンに戻って、残り汁で悩まされるかもしれません。幸い、リピーターも増えてきましたし、販売店さんも応援してくれています。もし今後、何かの理由で出荷数が減ったとしても、山ごはんで悩んでいる人がいる以上、続ける以外に僕には選択肢がないんです。

山口

山ごはんの未来を背負っているんですね。

ドミンゴ

使命感もありますが、それ以上にビバークレーションに可能性を感じています。災害備蓄食にもなりますし、美容や健康に気を使う女性が家で食べるのにもぴったりなはず。それに、仕事に限らず日々のことで忙しい人にとって、毎日、毎食のたびに「体にいいものを!」と意識を高く持ち続けるのはしんどいと思います。ですから、無添加で、すぐできて、洗い物も少ないビバークレーションという選択肢を提案したいんです。

山口

ビバークレーションのこれからを応援しています。今日はありがとうございました!

区切り線

ドミンゴさんのお話を伺っていて、補給食や残り汁にまつわる課題をそのままにしておくのではなく、「どうしたらもっといいものが作れるか?」と面白がりながら解決に取り組む姿がとても魅力に感じました。

そうして自分自身が本当に食べたい「山ごはん」を追求した結果、多くの人に愛される商品がうまれたのは、必然だったのかもしれません。

一人でも多くの人にビバークレーションを届けるため、今日もドミンゴさんは奔走します。

※クラウドファンディングは3/30まで実施中。支援はこちらから!

【未来は山からやってきた】 お湯だけ2分で即うま本格リゾット!できました。
  • 目標金額
    1,500,000円
  • 内容
    アウトドア愛好者に使われている革新的な商品「ビバークレーション」を、さらに多くの方に知ってほしい。そのために、量産化、事業化に向けての資金を募集します!

書いた人 : 山口祐加

1992年東京生まれ。フードプランナー、ライター。両親共働きで、母親に「ゆかが料理を作らないと晩御飯ないよ」と笑顔でおどされ、7歳のときに料理に目覚めました。料理と外食(2017年は新規220軒)と旅が好きです。

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