日本茶セレクトショップの成功事例から学ぶ、小売店のクラウドファンディング活用術(後編)

鎌倉を拠点に日本茶のセレクトショップを企画・運営する株式会社Third Bay(神奈川県鎌倉市)。前編では主に「資金調達以外のクラウドファンディングの有効活用法」について触れました。後編では「クラウドファンディングで資金調達を実施した、その後の事業展開」について迫ります。
(ご覧になってない方は、前編の内容も併せてご覧ください。)

■「人生デザイン U-29」に出演していた女性社員の姿に感銘

三浦さんがキャンプファイヤーを知ったのは当時、偶然テレビで見かけたNHK Eテレのドキュメント番組『人生デザイン U-29』「クラウドファンディング会社社員」がきっかけ。
クラウドファンディングを運営するキャンプファイヤーの女性社員自らが、全国で出合った食材を取り揃えたおにぎりセレクトショップをECサイトとしてオープンするために、こだわりの食材を巡る旅の様子が放映されていた。訪れた先の土地で穫れるお米や特産品と、丹精込めて作る生産者との出会いから、おにぎりを作って食べてもらう。そこで、お米のおいしさやその本質について伝えていたのが印象的だったという。
「当時、日本の伝統文化をどのように伝えていけばいいのか、模索していた時期でもあり、その姿に感銘を受けました」。こうした女性社員がいる会社であれば、クラウドファンディングを託したいと思い、キャンプファイヤーを選んだ。

■行き届いた対応にキャンプファイヤーを選んで良かったと実感

実際に、キャンプファイヤーのクラウドファンディングを始めて、着手したのがプロジェクトページの作成だった。三浦さんは、通常プロジェクト開始の1ヵ月前または半月前に提出するプロジェクトページの内容を、2ヵ月前に作成してキャンプファイヤーの担当者に送信。そこからプロジェクト開始までの2ヵ月間、担当者と5回ほどのやり取りを重ねるうちに、内容がどんどんアップデートされていったという。「最初の出来が40%とすると、最終形は200%の仕上がり。内容は各段に良くなりました」と振り返る。

これは、三浦さんが事前準備を怠らない姿勢が大前提にあるが、キャンプファイヤーの担当者から、その都度適切なアドバイスを受けることができた点も大きかったようだ。
内容が充実したプロジェクトページの公開後、CHABAKKAのオープン前後で約70~80のメディアに取り上げられている。

このページ内には、クラウドファンディングの利用者が事業を志した理由、資金調達をして叶えたいこと、今後取り組んでいきたいことなど、それを見れば一通りのことが分かるフォーマットにまとめられている。そのため、三浦さん自身も、事業に関する情報整理に役立てることができ、同時にメディアや支援者などへ認知を広めていくことにも寄与したという。

現在、CHABAKKA TEA PARKSで働くスタッフもキャンプファイヤーのクラウドファンディングを利用してプロジェクトを始める予定とのこと。「彼が提出する資料については、一通りチェックして赤ペン先生よろしく添削しています。今では先生と呼ばれている」とうれしそうに笑顔を見せる。

■既存事業の拡張、新規事業の立ち上げにもクラウドファンディングの利用を視野に

CHABAKKAは将来ビジョンに、日本伝統文化である日本茶を世界に向けて発信し海外市場へ展開していくことを掲げる。ただし、今は足元の地盤をしっかりと固めるために、国内での事業展開を優先し取り組んでいく考えだ。現在、3方向で新たな事業を構想している。

1)国内で日本茶とCHABAKKAの認知拡大・向上を推進
CHABAKKAがターゲットする20代半ば~30代半ばの年齢層は、日本茶の価値や真のおいしさを知らない人が多いと見る三浦さん。「日本茶が持つ本当の価値に気づいていない人に、選りすぐりの日本茶を飲んでもらいたい、体験してもらいたい」。
この想いを実現するため、現在運営する2店舗に加え、近隣を中心に出店していく一方、関西エリアへの出店も検討中。
最近では、骨董品が並ぶ「東京蚤の市」(東京・大井競馬場にて開催)で日本茶のブースを開くなど、野外イベントに出展する機会も増えており、今後も積極的に取り組む考えだ。


こうした店舗形態にこだわらない認知拡大・向上を図る手段として、期間限定のポップアップストアでの出店、さらにはキッチンカーでの全国巡りも構想している。三浦さんは、優先順位を付けて取り組んでいきたいと語る。

2)市場に出回っていない日本茶のコンサルティング
現在、CHABAKKAで取り扱う日本茶は、品質はいいものの発信力が弱い、販売ルートがきちんと確立されていない品種のものばかり。そうした生産者を支援するために、卸業務にも徐々に取り組んでいく考えだ。Third Bayが市場に出回らない品種の日本茶のプラットフォームとして、PR業務、販売ルートの開拓などを請け負い、小売りやエンドユーザーに流通させる仕組みづくりを構想している。「品質にこだわった、まだ世に知られていない品種の卸業務を中心に担う、“現代版・農業協同組合(JA)”というイメージ。他業種へ卸したり、オリジナル商品を企画・開発したり、自社で扱う日本茶の原料を使ってカフェやレストランと提携してメニュー作りに取り組んだりしながら、全国に向けて展開していきたい」と語る三浦さん。また、市場に流通しにくい規格外の日本茶を利活用する、新たな事業も検討中だ。

3)「茶畑オーナー制度」を通じて国内の日本茶業界を活性化へ
Third Bay は2019年内に、「茶畑オーナー制度」のスタートを予定している。選定された茶畑を一口単位で購入し、オーナーになって実際の運営管理を茶農家に委託し管理する。オーナーは自分だけの茶畑を保有し、自分だけの日本茶が飲めるという贅沢な体験ができる。
三浦さんは「後継者不足を背景に、耕作放棄される茶畑がどんどん増えていく中、茶畑の再生や維持にもつながり、社会貢献の一環としても期待」と意欲を見せる。また、海外の人がオーナーになったり、オーナーとして参加するうちにビジネスとして本格的に取り組む人が現れたりすると、日本茶産業の活性化にも期待が膨らむ。

Third Bay では、茶畑の再生や維持を担う川上から、エンドユーザーにオリジナル製品を届ける川下まで、日本茶に関わるすべての業務・プロセスに携わっていこうとする考えの下、新たなビジネスのアイデアが生み出されている。
こうしたアイデアを具現化する際に、改めてクラウドファンディングの利用も考えていると話す三浦さん。「スタートアップの時期だけでなく、既存事業の拡張、新規事業の立ち上げなどのタイミングに活用することで、企業がさらに発展していく原動力になる可能性を感じますね」。

■クラウドファンディングの利用を考えている人たちへ


クラウドファンディングを利用する機運が高まっている最近の風潮について、三浦さんはポジティブに捉えつつも、その一方で危機感も感じている。クラウドファンディングを利用すれば、ビジネスが成功するほど、ビジネスを新規で立ち上げるのは決して甘くはないとあえて苦言を呈す。

「すでに世に出回っている自己啓発本やビジネス書を読んでも、すべての人がビジネスで成功するわけではありません。その人の想いをビジネスにする方法は千差万別。それぞれに応じたやり方があるので、まずは自分のやり方でチャレンジすることをおススメします。自らが悩んで苦労しなければ、自分に合うビジネスのやり方は見つからない。ただし、自分の想いをビジネスにして成功させるという強い気持ちを失わずに、私が心掛けてきた“事前準備”を怠らなければ、次第に道は拓けていくはずです。そこに“三方良し”の関係を築けるのであれば、なおさらいいでしょう」。

<企業概要>
・企業名:株式会社Third Bay
・所在地:神奈川県鎌倉市御成町11-10
・代表者:三浦 健
・店舗数:2店(2019年8月現在)
・事業内容:日本茶セレクトショップ「CHABAKKA TEA PARKS」の運営をはじめ、日本茶の製造・販売にまつわる経営・営業コンサルティング、シェアリング事業の企画・運営、等

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書いた人 : BAMP編集部

日本最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE」が運営する、小さな声を届けるウェブマガジン「BAMP」編集部です。

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