日本茶セレクトショップの成功事例から学ぶ、小売店のクラウドファンディング活用術(前編)

現在、鎌倉を拠点に日本茶のセレクトショップを企画・運営する株式会社Third Bay(神奈川県鎌倉市)。2018年4月に「CHABAKKA TEA PARKS鎌倉店」をオープン、次いで12月には2店目となる「CHABAKKA TEA PARKS LABORATORY由比ヶ浜店」を出店。こうした順調な滑り出しを見せる事業展開を支えているのが、クラウドファンディングの有効活用だ。

プロジェクトデータ
  • プロジェクト目的
    支援者の獲得(=情報発信ツールとして活用)、メディア戦略(=PRツールとして活用)、商品のテストマーケティング (=マーケティングツールとして活用)
  • 募集期間
    2018年2月~4月
  • 調達金額
    224万円
  • 掲載メディア数
    約70~80(店舗オープン前後の時期のみ)
  • プロジェクトURL
    https://camp-fire.jp/projects/view/56341

■品質のいい日本茶を作る、発信力のない茶農家の一番のサポーターに

オープンから1年以上経った「CHABAKKA TEA PARKS鎌倉店」は今も客足が絶えない。「おしゃれに楽しむ日本茶エンターテインメント」をコンセプトに掲げるだけに、店の外観から湘南エリアならではのビーチサイドや海の家を彷彿とさせ、店に足を踏み入れると、日本茶のアロマキャンドルの香りが非日常空間へと誘う。約30㎡の敷地の店内には、品質にこだわる日本茶のカラフルな缶パッケージが壁伝いにディスプレイされ、ここでしか味わえないクリーミーな泡が印象的な日本初のドラフトティーが楽しめるなど、貴重なエクスペリエンスが盛りだくさんに詰まっている。

店内に取り揃える日本茶は、あまり市場に出回っていない、生産者が品質にこだわって作られているものばかり。Third Bay代表を務める三浦健さんは、「品質のいい日本茶は作っているけど発信力がない、営業力が弱い。そうしたお茶農家さんの一番の力になりたい」との想いでCHABAKKA TEA PARKS(以下、CHABAKKA)をスタートさせている。

CHABAKKAは日本茶専門店としての打ち出しではなく、多くの人が自由に集まり交流する空間で、おいしい日本茶が楽しめる、そこで生まれる新たな発見やワクワクする体験を大事にしている。それが、店名の“Park”の由縁だ。

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■三浦さんが実行した資金調達以外の、クラウドファンディングの有効活用法

●顧客・支援者、メディア掲載の獲得

「CHABAKKA TEA PARKS」HP内には、「SPECIAL THANKS」とのタイトルの下に、クラウドファンディングで支援した人たちの名前約300名分が50音順にズラリと掲載されている。ここから、CHABAKKAでは支援者をいかに大切にしているかが窺える。

クラウドファンディングを利用するにあたり、三浦さんは資金調達以上に、できるだけ多くの人に日本茶、そしてCHABAKKAを知ってもらうことに重点を置いていた。それは、事業開始前の段階から、お客様や支援者を獲得できる有効な手段と見ていたからだ。三浦さんは、クラウドファンディングで“3分の1の法則”を実行に移す。

まず、知り合いなど身近な人の支援で目標金額の3分の1を達成し、知り合いからのSNSでの拡散、メディアの掲載、さらにそのジャンルに興味を持っていた人たちからの反応でさらなる3分の1をクリア。そこから波及し、プロジェクトやジャンルに全く興味のない、知らない人たちに情報が届き残りの3分の1も達成している。つまり、クラウドファンディング開始時点で300人ほどの支援者は、人から人へとつながって知れ渡っていき、最終的に支援者は5,000人以上に増大したという。

さらに多くの人たちへ認知を広げるため、クラウドファンディングのプロジェクトページをPRツールとして活用し、多くの雑誌、新聞、Webメディアなどに向けてプレスリリースを積極的に送信した。プロジェクトページ上では、最新の情報をこまめにアップし現状を詳しく伝えるようにした。

プレスリリースの作成では、店のオープン前とあってビジネスとして今後取り組んでいきたいことを中心に文章化。その際、読み手にどのように“伝わるか”を意識し、俯瞰的・客観的に見直して自問自答を繰り返し、いろいろな人にチェックを受けるなどして文章化のスキルを高めていった。
戦略を立て、それに基づき情報発信を丁寧に粘り強く積み上げた結果、CHABAKKAのオープン前後には約70~80のメディアが取り上げる快挙を成し遂げている。

こうした結果に、三浦さんは「本来であれば、最も悩み苦しむであろうメディア戦略が店のオープン前にできたことは大きかったです。事前準備をしっかりやっておけば勝算は見えてきます。ビジネスにまつわるすべてのことは事前準備で8割が決まると言っても過言ではありません」と強い口調で話す。これは、前職のアパレル企業「TOKYO BASE(旧STUDIOUS)」で、立ち上げメンバーとして創業から東証一部上場まで携わった経験で得た、三浦さんにとっての貴重な教訓でもある。

なお、昨年4月のオープン以降、メディアにプレスリリースを送信していないものの、オープン前に送付したリリースの効果が継続し、今でも取材のオファーは絶えないという。

●商品のテストマーティングとしてリターンを活用

さらに、支援者のリターンを通じて、商品のマーケティングとしても活用している。クラウドファンディングの支援者にとって、支援先を決めるポイントの一つになるのが、リターン品となるため、その反応をしっかり分析することで、有益な商品マーケティングとなる。ちなみに、三浦さんがリターン品を選定する上で3つのポイントにこだわった。

1.ファッショナブルであること
それを最も象徴しているのがお茶の缶のデザイン。それぞれのキーカラーは、お茶が液体になった色に合わせている。緑茶は黄色がかった黄緑、抹茶は緑、紅茶は赤系統など製品と色を同調させることで視覚的に訴求した、おしゃれな缶パッケージを実現。お客さんの中には、缶だけを求めてくる人もいるほど好評を得ている。

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2.湘南という地域性を反映
一見、日本茶とは関係なさそうなビーチサンダルやデニムバッグ、Tシャツ、タンブラーなどのアイテムを取り揃える。これらは、店を構える鎌倉と由比ヶ浜の湘南エリアを意識して作ったグッズだ。三浦さんは、これらのグッズでストーリー性を持たせている。「店から歩いて行ける距離の海まで、Tシャツを着てビーチサンダルを履いて、デニムバッグを肩にかけながら、タンブラーに入れた日本茶を飲みながら歩くストーリーを想定。それを大切にしています」。

3.最終的に来店につながること
もう一つのポイントは、支援者がリターンを受け取った後、来店につながる仕掛けが盛り込まれている点だ。現在も店内で販売している商品をはじめ、ワンドリンクチケット、店に通ってもらえるフリーパス、さらにはエンターテインメント性を活かした、湘南の地域性を活かした三浦さん自らが案内する一泊二日の観光プラン、一生使えるレンタサイクルなどユニークなリターンを取り揃えた。

後編では、主に「資金調達後の事業展開」について伺いました。
後編はこちらから

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書いた人 : BAMP編集部

日本最大のクラウドファンディング「CAMPFIRE」が運営する、小さな声を届けるウェブマガジン「BAMP」編集部です。

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